お絵描掲示板から引っ張り出して来た小話ログです。




▼ベルフェゴール

血を流して、
血を吐いて、
それでもこればかりは止められない。
何で続けるのかって?
そんなの決まってる。
楽しいから。
理由はそれだけで十分。

さぁ、始めようぜ。
せいぜい足掻いてオレを楽しませてくれよな。
オマエを切り刻むその瞬間が

「             」

待ち遠しくて仕方が無い。






▼雲雀×ハル (*死ネタ注意)

肌を打つ音が聞こえる。
それが不思議と静かに、ひっそりと耳の奥へと染み入った。
冷たさは全く感じない。
それは、心が冷え切ってしまっているせいか。
トントンと墓標を雨が叩いている。
この下で眠る者を、目覚めさせようとでもしているかの様に。
そんな事は不可能だと知っては居ても、その場から動けなかった。
もしかしたら、もう一度あの声が聞けるかもしれない。
そんな甘い期待はしていないが、それでも何故か立ち去れずにいる。
じりじりと時間は過ぎて行くばかり。
あの煩い声と、くるくると良く変わる表情は、もうこの世に残っていない。
それら全てを無の炎が包み込み、灰へと帰してしまった。
後に残されたのは、心の奥底にしっかりと根付いている記憶と――約束だけだ。


…あぁ、三浦。
君と交わした約束は、必ず守ると誓うよ。
最後の最後で輝いた、君のあの笑顔に免じて。





▼雲雀×ハル(サウンドノベルゲーム:『時に惑ひて(現在製作中)』より)

もう駄目なのだという事は、その姿を見れば嫌でも解った。
それでも『まだ大丈夫なのではないか』という切実な想いが、ハルの片腕を動かす。

「馬鹿かてめぇは!!」

獄寺が咄嗟にハルの手を掴まなければ、その指先は間違い無く雲雀に触れていたであろう。
ユラリと立ち上がり此方を見る雲雀の目には、既に一片の光も見当たらない。
それは即ち、彼が奴等の仲間入りをしてしまった証だ。
「逃げるぞ!」
掴んだままの手をきつく握り締め、獄寺は走り出した。
引き摺られる形で、ハルの足もそれに合わせて動き出す。
信じられない現実が、ハルの心に突き刺さって感覚を麻痺させている。
痛いと思う事も、悲しいと思う間も無かった。
ただただ、遠ざかって行く雲雀の姿を見つめていた。





▼ハル

口の中に広がる味に、顔が自然と歪む。
唾液に絡まった鉄錆を吐き出したい衝動に駆られるが、何とか堪えて静かに飲み込んだ。
瞬間、熱く腫れ上がった頬に痛みが走る。
「…っ」
低い呻き声が口から洩れた。
激痛の後に襲い来る鈍痛の波に、しかしハルは前方に立ち塞がる黒服の集団から視線は逸らさない。

暴力で全てが解決するのであれば、幾らでもどうぞ。
それで貴方がたの気が済むと言うのでしたら、お好きなだけ殴れば良い。
此方は逃げも隠れもしません。


ボンゴレ10代目秘書、三浦ハル。
この首一つで事が収まるのなら、喜んで差し出しましょう。





▼はる(『旋律は繋がりて』より)

音が、止まない。
病んでいるのは聴覚か、それとも精神か。
身体を意識を霊魂を存在を縛る糸。
それらの軋む音が、絶え間無く続け様に聞こえて来る。

「君の名前は、はるだよ」
優しい声音でそう語り掛けるこの人は、はるではなくハルを必要としていた。

「はる、御免」
悲しい声音でそう謝っているこの人は、はるではなくハルに恋焦がれていた。

2人のどちらも、はるを通してハルを見ていた。


だから、この心は軋む。
歪んで歪んで、何時か破れ綻びるその日まで延々と、ただ軋み続けるのだ。





▼スパナ×はる(『旋律は繋がりて』より)

突然、シャワーが爆発した。
と言っても、爆弾の様に炎上したとか、そういう類のものではない。
単にシャワーを接続している部品が吹っ飛び、ぽっかりと空洞になった箇所から、水流が物凄い勢いで飛び出しているだけだ。
原因は不明だが、恐らくはるが何らかの悪戯をしたのだろう。
「はる」
バスルームの中でタイル上に座り込み、頭から水を被って驚いた様に天井を見ている子供に声を掛けると、先程と変わらない表情が此方を向いた。
「はひ」
「風邪引くから出ておいで」
「はーい」
素直に立ち上がるはるへバスタオルを渡し、入れ替わりにバスルームへと足を踏み入れる。
水の奔流は止まる事を知らないかの様に、天井まで届かんばかりの噴水のサービスを見せていた。
「さて…」
腰のベルトに差していた工具を片手に取り、隅の方へと転がっていた部品に手を伸ばす。
後は元通りに戻すだけ。
何て事のない作業を、スパナはきっかり5分で仕上げた。


「すぱ、これ大きいです」
はるに貸し与えた服は、自分が持つ衣類の中で一番小さいサイズの物だ。
けれど10歳の少女には、成人した自分の服はどれも大きいどころの話ではない。
「ん…。はる、ちゃんと前しめて。替えの服は明日、正一に持って来て貰うから」
「はひ」
言われた通りにボタンをプチリプチリとしめて行く姿に、さてどうしたものかと考える。
小さい頃ならまだしも、この年頃ともなると一緒の部屋で寝るのは些か拙い気もしてきた。
まだまだ子供とはいえ、男の怖さを教えておいた方が良いと、以前正一に忠告したのはこの自分だ。
「…やっぱり今から迎えに来て貰うか」
既にベッドの上で眠る体勢に入っている、思い切り肩が露出しているはるに、スパナは通信機のスイッチを入れた。





▼スパナ×はる(『旋律は繋がりて』より)

雨。
まだまだ小雨の領域を出ないとはいえ、長時間も外に居ればそれなりに寒くもなって来る。
幾ら夏場でも、流石にそろそろ不味いのではないだろうか。
「はる…そろそろ中に」
雨の中を元気に飛び跳ねている子供に手を伸ばせば、きょとんとした表情が返ってきた。
「もう、なか…?」
「うん。風邪ひいたらまずいし」
「はー…い」
大人しく差し出された手を優しく繋ぐと、久方ぶりの地上を後にする。
雨に打たれたのなんて、もう何年ぶりの事だろうか。
久しく遠い記憶を思い返し、無邪気にはしゃいでいた子供に視線を移す。
「はる」
「?」
「当分は無理かもしれないけど、正一の許可が出たらまた外に行こうか」
「はひ。…すぱも、いっしょ?」
「まぁ、多分そうなる」
パタパタと雫を垂らしている髪を掻き上げると、はるもその仕草を真似て嬉しそうに笑う。
「いっしょ、いっしょ。すぱといっしょ」
恐らくは即興で作られたであろう、妙なリズムに合わせて歌うはるの頭を撫でる。
しっとりを通り越してびっしょりと濡れている髪の毛に、思わず溜息が零れた。
「帰ったら、真っ先に風呂だな」
「おふろー。おふろも、いっしょ?」
「それは一人で入る事。正一もそう教えてるだろ?」
「むー…」
はるは少々不満気な顔ではあったが、それでもこればかりは譲れない。
「風呂から上がったら、本読んでやるから」
再び頭を撫でれば、はるの顔は笑顔全開になった。
「すぱ、はやく」
グイグイと手を引っ張られ、部屋に向かう。
すっかり慣れてしまった子供との生活に、スパナは小さく笑いながら廊下を歩いて行った。





▼白蘭&ハル(『うしと見し世ぞ今は』より)

見た事の無い顔だった。
薄い笑みを常に湛えているその表情は、何処か不気味で冷たく感じられる。
「君の望み、叶えてあげようか」
男が言う。
何でも無い事の様に。
全てを知っているとでも言うかの様に。

望み?

外れない視線で男を眺めながら、混乱する頭で考える。
何時の間にか乾いてしまった涙が、髪の毛を頬に張り付かせていた。
男の指がそれを静かに剥がし、そっと一房掬い上げる。
「ホラ、言わなきゃ叶わないよ?」
クスクスと音を立てる唇が、ゆっくりと言葉を彩っている。
目が、離せない――その存在感。
「………ツナ、さん…を」
辛うじて出した声が掠れていた。
自分でもとても聞き取りにくいそれを、男は楽しそうに聞いている。

「…ツナさんを、救って…」

それが自分の望み。
どうかあの人を。
あの人を助けて。
誰よりも優しく愛しい、あの人を救って下さい。





▼雲雀&はる(『旋律は繋がりて』より)

今日も煩い子供が来た。
昼寝の邪魔をされたのは、これでもう5度目だ。
「ひばー。遊びましょー」
「…君には寝ている人間を起こす趣味でもあるのかい?」
不機嫌さを前面に押出して睨むも、子供が怯んだ様子は全く無い。
そればかりか、満面の笑みでじりじりと詰め寄って来る。
「寝るなら夜だけで充分なのです!ひば、ゴロゴロし過ぎだから、はるが遊んであげます」
「結構だよ。君の保護者は何処に行ったの…」
「すぱは買い物に行きました。何でも緑茶が切れたとかで。あ、これひばの扇子ですか?これで遊べるかなぁ…」
勝手に人の座椅子に腰を落ち着け、男物の扇子をまじまじと眺めている姿に眩暈がする。
「そんなに遊びたいなら外に行けば良い。学校に近い場所なら、同じ年頃の子供が群れているだろうからね」
「…?はるは、ひばと遊びたいんです。ひばが運動不足にならないようにって、これでも気をつかっているのですよ〜」
「要らぬお節介というものだよ」
「ひば、照れ屋さんなのです」
ちょこんと人差し指で頬を突付かれ、雲雀の全身を脱力感が襲った。
何を言ってもこんな調子だ。
正に暖簾に腕押し状態で、子供は一向に堪えた様子が無い。
あぁ、スパナだかバーナーだか知らないが、早く迎えに来て欲しい。
早速扇子を天井目掛けて投げ飛ばして居る子供を横目に見遣り、雲雀は深い深い溜息を吐くのだった。





▼スパナ×はる(『旋律は繋がりて』より)

ヒヤリとした。
子供の周囲にあるのは全て、危険性の高い代物ばかり。
一歩間違えば、その身体に傷を負うどころか、命を落としかねない。
そんな部屋に、はるは一人で座っていた。
まじまじと興味深そうな眼差しで、両手にしている瓶を眺めている。
「はる」
脅かさない様に注意を払い、静かに部屋へと足を踏み入れる。
本当は駆け寄って直ぐ様、瓶を取り上げたいところだ。
けれど、そんな事をしようものなら、はるは驚いて手を滑らせてしまう可能性がある。
だからこそ敢えて、平静を装う必要があった。
「…すぱ」
此方の姿を目にした途端、はるの表情が気まずげに曇る。
「この部屋は危険物ばかり置いてあるから、入るなと言わなかったっけ?」
変わらぬ足取りで近付くと、小さなその手から瓶を取り上げる。
俯く姿に、微かに安堵の息を吐いた。
「はひ。すぱ、さがしてた…」
「濃硫酸で遊んでて?」
白いラベルが貼られているそれを元の棚へと戻し、床上に屈むと子供を覗き込んだ。
無言の圧力を感じたらしく、はるは恐る恐る顔を上げる。
「…ごめんなさい」
「ん」

無事で良かった。

脳裏を過ぎった言葉は口にせず、変わりに子供を左肩へと担ぎ上げる。
「はひ?」
「部屋に戻るんだ。正一が探してた」
軽い身体に片腕を回したまま、スパナはボソリと呟く。
暴れる気配の無いはるを抱え、そのまま正一の待つ部屋へと足を向けた。





▼スパナ&カンナ (*ファミリー捏造注意)

カンナ「パパ、ハルママが呼んでたよ」
スパナ「ん…」
カンナ「それ私がやるから、早く行って。どうせまた朝食抜いたんでしょ?」
スパナ「あぁ、忘れてた」
カンナ「もう。仕事熱心なのも良いけど、食事ぐらいちゃんと取ってよね。パパが倒れたら、ママ泣くわよ?」
スパナ「うん。行って来る」
カンナ「娘にまで心配掛けさせないでよ」
スパナ「ごめん」




▼スパナ

父が死んだ。
彼は立派な機械工で、何時も何かしら機械を弄っていた。
部屋には様々な種類の部品が散乱し、足の踏み場も無いという状況も日常茶飯事。
そんな父の背中を見て育ったから、気付けば自分も又同じ様な道を辿っていた。
手にはパソコン一台、傍には幾多もの部品。
自分を取り巻く環境は殆どが無機質な物ばかりで、父が遺してくれた財産もそんなものばかりだ。
「………」
足元に転がる一本のネジを見下ろして考える。
―――あぁ、これでとうとう一人になってしまったのだ。
全く構ってくれなかった父を恨んだ事は無いし、それが特に寂しいと思った事も無い。
遊び相手は何時もロボットで、思えばそれらは全て父が作ってくれたものだった。
愛されていなかった訳では無い。
それが解っていたからこそ、一人でも平気だった。
父の居なくなった部屋で、一人佇んで夜を過ごす。
「…大丈夫。これからもウチは、一人で生きていける…」
発した言葉が自分に言い聞かせるかの様に、静かに耳奥へと染み込んで行く。
大丈夫だ。
大丈夫。
何度も繰り返し、落ちていたネジを拾い上げる。
父の形見となってしまったそれをポケットに放り込み、そのまま朝を迎えた。

人一人居なくなっただけで随分と広くなってしまった部屋に別れを告げ、最小限の小道具だけを抱えて家を出たのは、もう10年も前の事。





▼クローム髑髏×ハル、笹川京子(京)×ハル 
(*男体化注意)

京 「ハルちゃん!」
ハル「はひ?…えっと…京子ちゃん…です、か?」
京 「うん、久しぶりだね」
ハル「お久しぶりです。…何だか凄く身長伸びたんですね。声も低くなった様な。まるで以前エロいお医者さんのせいで男になってしまったハルみたいです!」
京 「あははは。そうでしょ。うん、私今男になっちゃってるからね!」
ハル「そうなんですかー…って、はひ!?」
京 「あ、この格好で私っていうのも変だよね、やっぱり。此処は僕って言った方が良いのかな。それとも俺?」
ハル「いえ、そんな事を気にしてる場合じゃないですよ!たたた大変です!!すぐにシャマルさんの所へ…」
京 「あ、良いの良いの。俺この格好気に入ってるし。それにこれなら、ハルちゃんにベタベタしてもおかしくないでしょ」
ハル「きょ、京子ちゃん?」
京 「京、って呼んで欲しいな。男で京子っていうのも変でしょ」
ハル「それはそうですけど…はひー、何で抱き締めるんですかっ」
京 「ん、何となく。ハルちゃん、柔らかくて気持ち良いなぁ」
ハル「う、うぅ…。何か男の人に抱き締められてるみたいで、変な感じです」
京 「まぁ、身体は男だからね」
クロ「ハル…」
ハル「あ、クロー………ム、ちゃん?ですか?」
クロ「うん。探した、こんな所にいたんだ」
ハル「そ、その格好は…」
クロ「骸様に借りた。女物は着られないから…」
ハル「まさか、クロームちゃんも男性に!?」
クロ「そうみたい。起きたらこの身体になってたから。似合う?ハル」
京 「良いんじゃない?お下がりが丁度良くて。じゃ、ハルちゃん。そろそろ行こっか」
ハル「はひ?え、何処にですか?」
京 「俺の部屋。前に言ってたケーキ、一杯買って来たから一緒に食べよ?」
ハル「え、でも…」
クロ「……ハル嫌がってる。離せば?それにハルはこれから僕と一緒に来て貰うんだから…」
ハル「クロームちゃん、僕って…」
クロ「うん、容姿に合わせて変えてみた。どうかな…」
京 「目おかしいんじゃない?ハルちゃんは嫌がってなんかないよ。変な事言って邪魔しないで。第一、何処に連れて行く気?」
クロ「貴方に関係ない。僕とハルの、二人だけの秘密の場所、だから」
ハル「シークレットな所って…何処かありましたっけ」
京 「ほら。こんなのについて行ったら危ないよ。早く部屋いこ?ね?」
クロ「そっちこそ危ない。部屋に連れ込んで何する気…?」
京 「いい加減にしてくれないかな。幾ら温厚な俺でも怒るよ」
クロ「それはこっちの台詞…。ハル、来て」
京 「駄目、ハルちゃんは渡さない」
クロ「じゃぁ、力付くで奪うまで…だね」
ハル「はひ?はひ!?何だか二人からダークなオーラが出ています…」






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