恋しかるらむ







「ん、んぅっ」
ぐちゅぐちゅと淫靡な音が静かな部屋に響く。
秘部の陰核に唇を当て、皮を軽く剥いてしこりを吸い上げていた雲雀は、視線を上方へと向けた。
すぐ目の前にある茂みの隙間から、顔を火照らせて恍惚に浸る表情が垣間見える。
堪え切れない喘ぎが引っ切り無しにハルの口から漏れ、余りの快楽の為かその目尻には涙が浮かんでいた。
「…あ、っやぁ…、あん」
軽く尖らせた舌先を陰核へと押し付け、グリグリと刺激を施してやる。
瞬間、ハルの身体が面白いぐらいに跳ね上がった。
「ひあ、あっ」
ハルは口を大きく開けて嬌声を吐き出すと、昇り詰めた後の落下に従って身体をぐったりと弛緩させた。
「ハル」
とろみのある粘液を啜り上げた雲雀が、やや掠れた声で恋人の名を呼ぶ。
彼の方もそろそろ限界が来ているのだろう。
雲雀は熱い吐息を漏らすと、余韻に身体をビクビクと震わせているハルに覆い被さった。
「何時もこれだけ大人しければ良いのにね…」
クスリと小さく笑いを零し、ハルの耳元でそっと囁く。
言葉と共に掛かった息に、少女が息を詰めるのが解った。
絶頂を迎えたばかりの身体には、些細な刺激も堪らないのだろう。
「いじ、わるです…っ」
微かに潤んだ目を向けられた雲雀は、笑みを口元に刻んだまま、ハルに深く口付けた。
反射的に閉じようとする唇を抉じ開け、奥へ逃げていた舌を絡め取る。
呼吸がまだ整っていない内の早急なキスに、ハルは苦しそうに眉を寄せる。
それに気付かないはずはないのに、雲雀の動きは止まらない。
硬くなった胸の先端を親指と人差し指で弄り、必死で呼吸をしようと足掻くハルにキスを繰り返す。
「ひば…っ、…り、さ…」
呼吸困難に陥る寸前で漸く口を開放されたハルは、ぼんやりとする意識の中、じくじくと鈍い波を訴える下肢に泣きそうになった。
一度は達した身体が、再び快楽を求めて疼き出している。
「何?」
ハルの言葉無き懇願に、雲雀は態とらしく首を傾げて見せた。
その目はじっとハルに注がれたまま。
「…ぅ」
「言わないと、解らないよ?」
楽しそうに笑う相手に、一層言葉が詰まる。
解っていて言っているのだと、嫌でも理解出来てしまう為だ。
「言え、ません…」
語尾を小さく濁して、それでも逃げようと試みる。
無駄だと知ってはいたが、羞恥心がどうしても言葉を紡いでくれない。
しかし雲雀がそれを許すはずもなく、彼の目が細くなったのをハルは目の端に捉えてしまう。
「ずっと、このままでも良いのかい?」
明らかな脅しに、身体が期待に震えた。
一言。
たった一言を口にすれば、望み通り雲雀は欲しいものをくれるだろう。
朦朧とした頭が、ハルから次第に理性を失わせて行く。
膨れ上がった欲望が理性に打ち勝った瞬間、ハルは口を開いた。
「ヒバ…、……ヒバリさんの、欲しい…です」
自ら腰を動かして強請る少女の姿に、雲雀の笑みが濃くなった。
片手でジッパーを下ろすと、既に天を向くぐらい反り返った陰茎が現れる。
それを既にぐずぐずに濡れている箇所へと押し当てると、簡単に先端が呑み込まれた。
何度か貫通した箇所ではあるが、それでも狭い入り口に雲雀は軽く息を止める。
濡れてはいても、やはりキツイ。
一番太い箇所を無理矢理に押し込む前に、ハルの耳朶を甘噛みしてやる。
一瞬だけハルの意識が其方へと逸れた瞬間を見計らい、一気に奥まで埋め込んだ。
「ひゃうっ!」
奥を突き上げられ、ハルの身体は今までにないぐらい跳ね上がった。
ギチリとしっかりと銜え込まれた己自身に、雲雀は薄く笑ってハルを見下ろす。
「凄いね、君の此処…。こんなに滑るのに、食い千切られそうなぐらい…キツイよ」
雲雀が人差し指で結合部を辿ると、ハルは身を捩じらせて首を振った。
「これも相当敏感になってるんじゃない?」
繋がっている箇所の頂点にある小さな尖りまで雲雀は指先を這わせると、くるくると円を描く様にして捏ね繰り回した。
「あ、ゃあっ」
とうとう涙をボロボロと流して泣き出したハルの姿に、ゾクリとした震えが雲雀を襲った。
滅茶苦茶になるぐらい、壊してやりたいという衝動が頭を占める。
元々サディスティックな性質は持ち合わせていたが、ハルを前にするとそれが増大して仕方がない。
特に、こうしている最中は殊更に。
入り口はまだきつかったが、雲雀は勢いを付けて動き出した。
奥に当たるのも構わず、片手でハルの片足を抱えて突き上げる。
「い、ぁっ…!…やあ、ぁっ」
突然訪れた衝撃に、ハルの口はただ悲鳴を上げる事しか出来ない。
性器が擦れ合う度に、グチョグチョと音を立てて透明な飛沫が互いの脚に飛び散る。
「ぁあ、あんっ。あ、あっ、…ひぁあ」
立て続けに送られる攻撃にも近い突き上げに、ハルは一気に絶頂へと近付いて行く。
「や、ぁっ。ヒバ、まっ…ぁあ、ゃあっ」
短時間で二回も達してしまう恐怖に、ハルは怯えた表情を相手に向けた。
それが更に雲雀の熱を煽るとも知らず。
「イきなよ」
ハルの顔に達しそうになる己を叱咤し、更に揺さぶりを掛ける。
一層力強く奥を嬲り、絶頂を促す。
「やだっ、…ぃあ、っああん」
それでも首を振る相手に、再び指先を陰核へと押し当てた。
奥を突き上げるタイミングに合わせて、一瞬だけ力を指先にこめる。
「ゃあああっ!」
中と外との二重の攻めに耐え切れず、ハルは絶頂を迎えた。
瞬間、蠢いていた膣内全体が雲雀を締め上げ、彼もまた達すると己を解放した。
先端から断続的に吐き出される精液が、ハルの膣内へと跳ね返っては奥を目指して流れ込んで行く。
「…ぁ、ん」
熱い液体を膣内で感じ取り、ハルの目がぼんやりと雲雀に向けられる。
とろんとした目は、雲雀の上気した顔を映し出す。
相手のこんな表情は、それこそこんな時でもなければ滅多に見られない。
ハルは雲雀を見つめると、甘える様にぎゅっと抱きついた。
その仕草が愛しく、雲雀もまたハルの唇にキスを落とす。
未だ下肢は繋がったままではあるが、ハルはその優しいキスに顔を綻ばせた。
「ヒバリさん、好きです…」
抱きつく腕に力を込め、嬉しそうに笑う。
「僕もだよ」
雲雀はハルの身体の下に両腕を差込み、相手を抱きかかえる様にして膝上に乗せた。
「…?」
不思議そうなハルの表情に、雲雀は意地悪気な笑みを浮かべた。
トロリと奥から何かが流れ出してくる感触が、ハルの脚に伝わった。
「ひゃっ…!?」
まるで粗相を仕出かしてしまった様な感覚に、ハルは慌てる。
そして固まった。
繋がったままだった雲雀が、再び硬度を増した事に気付いたからだ。
「あ、の…。ヒバリさん…」
戸惑いがちな声に、いっそ物騒とも取れてしまう笑顔で、雲雀はハルの耳元で囁く。
「まだ、元気あるよね?」
それは確認の形はとっていたが、返事を必要とした言葉ではなかった。


次の瞬間、ハルの口は言葉ではなく、本日三度目の嬌声を上げていた。







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